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サマータイム実現緊急大会(2005年3月18日) 本文>>

サマータイム制度導入に関する金属労協の考え方

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≪目    次≫

新たなライフスタイル構築のきっかけとなるサマータイム制度

1.サマータイム制度とは

2.サマータイム制度導入の効果

3.サマータイム制度導入に関する論点

4.サマータイム制度導入を図る上での今後の検討課題

5.サマータイム制度導入に関する金属労協の考え方と今後の政策展開について

【資 料 集】
資料1:サマータイム制度の仕組み
資料2:サマータイム制度導入国・地域
資料3:諸外国におけるサマータイム制度導入の指摘されている効果
資料4:サマータイム制度導入に関するこれまでの主な経緯
資料5:サマータイムによる経済的波及効果
資料6:サマータイム制度導入に伴うコスト
資料7:サマータイム制度導入による省エネルギー効果試算
資料8:わが国におけるサマータイム制度の実施期間前後の年間総労働時間の推移
資料9:職場生活の変化
資料10:サマータイム制度と労働時間との関係
資料11:サマータイム制度導入の賛否
資料12:サマータイム制度の賛否と労働時間の関係
資料13:サマータイム制度の賛否と省エネ効果
資料14:サマータイム制度の賛否とコスト負担の是非

【別紙:金属労協サマータイム研究会経過報告】
新たなライフスタイル構築のきっかけとなるサマータイム制度

1990年代初頭以降、わが国では、経済の低迷、それによる失業率の悪化、地球環境問題の深刻化、少子高齢化の進行、凶悪犯罪の多発など、様々な問題への対応が迅速に進まず、社会全体に閉塞感が漂っています。このような状況のなか、一方で、個々人の生き方に対する指向が多様化しており、これまでの「会社中心」型のライフスタイルから、家庭や地域を重視した新たなライフスタイルを確立するための制度整備が求められており、われわれ日本人の「生き方」、「暮らし方」、「働き方」を見つめ直す時期が到来しています。

そこで、生活者である国民が主役となって、自らのライフスタイルを抜本的に見直す「きっかけ」として注目を浴びているのがサマータイム制度です。サマータイム制度は、その実施期間中、明るい夕方の時間が増加し、活動の選択の幅が拡大することによって、地域社会とのふれあい機会の増加や、野外活動を通じた健康的な生活習慣の確立、また、国民的な省エネ意識の向上が期待できる新たなライフスタイルに則した制度であるといえます。

最近では、「生活構造改革フォーラム」(2002年3月発足)(注1)や超党派議員において、サマータイム制度導入に関する議論が活発化しています。金属労協においては、2003年2月17日にサマータイム研究会を発足させ、以降7月1日まで6回にわたり検討を進めてきました[別紙を参照]。

金属労協は、研究会における検討の結果を受け、サマータイム制度は、基本的に新たなライフスタイルの確立と国民的な省エネ意識の向上に寄与する「きっかけ」となる制度であり、その早期実現に向け、組織内における本制度の理解促進活動の強化を図りつつ、関係府省・組織に働きかけを行っていくこととします。
(注1):経済界、労働界、学識者など各界で構成する財団法人社会経済生産性本部が、戦後の日本人の生き方、暮らし方、働き方を問い直し、生活者起点の構造改革を推進するため、2002年3月に設立したフォーラム。同フォーラムでは、当面、「夏から日本を変える」をキャッチフレーズにサマータイム制度の早期導入を目指すことを確認。



1.サマータイム制度とは

わが国の夏季における日照時間は地域によって異なりますが、例えば、2002年の夏至における日の出の時刻は、午前3時半〜5時半となっており、国民の約8割は午前6時以降の起床であることから、朝の時間に30分〜2時間30分の日照時間を有効活用していない計算になります[資料1]。サマータイム(夏時間)制度とは、春から秋にかけて日照時間が増加する時期に、その明るい時間を有効に活用しようとするものです。例えば、4〜10月まで全国の標準時を1時間早めれば、夕日の沈む時間が1時間遅くなり、明るい夕方の時間を有効に活用する時間が増加します。サマータイム制度を実施している各国においては、太陽光(Daylight)を有効活用(Saving)する時間制度(Time)という意味から、デイライト・セイビング・タイムとも呼ばれています。
 現在、サマータイム制度は70カ国以上[資料2]で導入されており、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでも、日本、韓国(注2)、アイスランド(注3)以外のすべての国で導入されています。なお、1年を通じて1日の日照時間に変化のない赤道直下のアジアやアフリカの地域などでは実施されていません。サマータイム導入国においては、実質的な日照時間の増加により、ライフスタイルの改善、余暇の充実、省エネ・環境保護の推進、観光の振興、治安などの面で評価されており、市民生活に根付いた制度となっています[資料3]
 わが国においては、戦後復興期の1948〜51年、GHQの指導のもとサマータイム制度が実施されましたが、国民の理解を得られず不評であったことから廃止された経緯があります。その後、オイルショックによる省エネ意識改革やライフスタイル改善の施策として、幾度となくサマータイム制度の導入議論[資料4]がおこり、最近では、地球温暖化対策の一環として「地球環境と夏時間を考える国民会議」(1998〜99年)(注4)においてサマータイムの有効性について議論され、また、「生活構造改革フォーラム」でその導入に向け検討が重ねられています。
(注2):韓国は、1988年のオリンピックに対応するため、1987年にサマータイム制度を導入したが、オリンピック終了後に廃止した。なお、韓国は日本より経度が西に位置し、日本と同じ標準時を採用しているため通年サマータイム制度を実施しているような状況。
(注3):アイスランドは、白夜になる緯度に位置しているため、サマータイムを導入する必要がない。
(注4):「地球温暖化対策推進大綱」の決定を受け、社会全体が夏季の朝夕の日照などを有効活用するシステムに切り替え、人々が自ら地球環境にやさしいライフスタイルを工夫し、実現するきっかけとなる「夏時間(サマータイム)」の導入について多面的に議論することを目的として1998年に設置された国民会議。
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2.サマータイム制度導入の効果

サマータイム制度を導入した場合、具体的には次のような効果が期待されています。

○野外活動や地域社会とのふれあい機会の増加によるライフスタイルの変化
明るい夕方の時間の増加により、勤労者やその家族の野外活動や地域社会とのふれあいの機会が増加することが予想されます。内閣府「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」(2001年7月、
http://www8.cao.go.jp/survey/h13/h13-ondanka/)によると、サマータイム制度導入に関して「賛成」とする者の割合が50.9%(「賛成」17.2%+「どちらかというといえば賛成」33.7%)となっており、賛成者のうち「夕方の明るい時間が増えることで、私たちの行動の選択肢が拡がるから」と答えた者が45.6%にのぼります。このことは、家族や友人、地域の人々と野外で過ごすことで絆を深める時間、明るいうちにできるスポーツや趣味を楽しむ時間、地域コミュニティ活動やボランティア活動を行う時間の増加などが期待されていることを意味しています。このような地域での野外活動は、地域の文化や特性にあわせた街づくりに寄与するほか、地域社会とのふれあいを促進し、一人ひとりがゆとりと豊かさを実感できる社会の実現することが期待されます。

○レジャー産業の活性化による経済効果
サマータイム制度の導入によって余暇活動が増加すると、商業・観光・行楽・スポーツ・趣味・飲食業等のレジャー産業が活性化し、1兆円程度の余暇需要拡大・生産誘導効果が期待できると試算されています
[資料5](旧余暇開発センター:1999年)。具体的には、野外スポーツ製品・サービスの拡大や地域にある飲食店・商業施設・博物館・美術館・動植物園などの営業時間の延長による需要増、また、ペア単位、家族単位の発想が重視され、ペアチケット、ファミリーチケットの販売促進につながるとされています。サマータイムを導入した場合、政府部門および民間部門におけるコンピュータやソフトウェアの対応などで合計約1,000億円の初期投資[資料6]が必要ですが、サマータイム導入後にもたらされる経済効果は大きいものがあるといえます。

○国民の省エネ意識向上への期待
「地球環境と夏時間を考える国民会議」(1999年5月)では、サマータイム制度導入による省エネルギー効果の試算
[資料7]を行っており、サマータイム期間中(4〜10月と仮定した場合)、夕方の明るい時間が1時間増えれば、家庭用・業務用照明などの照明が節電され、原油換算で年間約87万キロリットルの省エネとなり、一方で、家庭用冷房や余暇活動の増加により原油換算で年間約37万キロリットルの増エネとなるものの、差し引き年間約50万キロリットルの省エネとなります。現在、政府の省エネ対策の目標は5千万キロリットルであり、50万キロリットルはその1%と一見小さい数字であるようにみえますが、これは約25万世帯(福井県や島根県の全世帯)の1年分のエネルギー消費量に相当し、「地球温暖化対策推進大綱」で示されている他の施策と比較しても非常に大きな省エネとなります。
そしてこれらの効果とともに重要なことは、サマータイム実施時と終了時に年に2回時計の針を切り替える際、併せて「省エネ」をPRすることで、国民の省エネ意識の向上にアナウンスメント効果をもたらし、更なる省エネに寄与すると期待されることです。前述の内閣府の世論調査においては、サマータイム導入賛成者のうち、「エネルギーの節約になるから」が66.6%、「切替日においてライフスタイルを自ら考え直し、その中で地球環境問題や省エネ等への対応などについて考えていく『きっかけ』となるから」が28.4%と、省エネ効果・意識の向上が期待されるところとなっています。

○犯罪・交通事故の防止効果と障害者・高齢者が暮らしやすい社会の構築
サマータイム期間中は、明るい夕方の時間が増加することで、交通事故の防止効果が期待でき、さらに、野外での工事や作業などの事故も軽減できる可能性があります。また、明るい時間帯に職場や学校、外出先から帰宅できるため、夜間における犯罪が減少し、安全な社会の実現に少しでも役立つことが期待されます。実際にサマータイムを導入したことで、アメリカ、カナダ、チリなどにおいては「交通事故の防止・減少」に寄与し、アメリカ、ドイツにおいては、「犯罪の防止」の効果が報告されています。
また、障害者や高齢者などにとって夜間は暗いので、どうしても外出を控え消極的な生活になりがちであるといわれています。目の不自由な人の約8割は弱視者であり、明るい夕方の実現は、行動範囲や行動時間の拡大につながると期待されています。
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3.サマータイム制度導入に関する論点

わが国ではこれまで、オイルショックによる省エネ意識改革やライフスタイル改善の施策として、幾度となくサマータイム制度導入の議論がなされてきましたが、政党間による調整や国民への理解促進活動がうまく進まなかったほか、同制度に対する懸念意見も根強く、これまで導入を見送られてきました。連合(日本労働組合総連合会)が1994年に行った「サマータイムに関するアンケート」の結果や「地球環境と夏時間を考える国民会議報告書」(1999年)、旧財団法人余暇開発センター(以下、旧余暇開発センター)「新エネルギー等導入促進の基礎調査報告書〜地球環境とライフスタイルに関する調査」(2000年)、内閣府「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」(2001年)で紹介された主な論点については次のように考えられます。

○労働に関する論点

論点:過去、わが国に導入されたサマータイム制度では労働強化につながったか
1948〜51年にGHQにより導入されたサマータイム制度の実施期間前後の年間総実労働時間の推移[資料8]をみると、サマータイムが実施された1948〜49年は実施前の1947年よりも労働時間はむしろ減少しています。1950年に勃発した朝鮮動乱以降、労働時間は増加に転じましたが、サマータイム制度が廃止された1952年以降も労働時間増加傾向が続いていることを考えると、サマータイムは直接的に労働時間に影響を及ぼすものではなく、朝鮮特需がもたらした経済環境の大きな変化が労働時間に影響を及ぼした部分が多く、サマータイム制度と労働時間に相関関係はないと考えられます。
また、今日では、戦後の復興期と違い、「しっかり働き、ゆっくり休む」というバランスのとれた生活への志向も高まっていることや、「時短」という時代の大きな流れもできており、帰宅しても暗いのなら仕事をした方がよいが、明るいのなら帰った方がよい、という判断になるかもしれません。

論点:サマータイムの導入により、残業増につながるのではないか
連合「サマータイムに関するアンケート結果」(1994年)では、1カ月の所定外労働時間が長い勤労者の層ほど、「日が高いので残業が増えそう」、「業務時間が長くなりそう」、「だらだら残業が増えそう」、「導入後も明るいうちに退社できない」など残業増への不安が強くなっており[資料9]、サマータイム制度をわが国に導入しても、明るい時間に帰宅しづらいなどの労働慣行に則った残業の実態が変わらなければサマータイムの実効性は上がらないとの強い懸念意見が最も多くだされています。
旧余暇開発センター「新エネルギー等導入促進の基礎調査報告書〜地球環境とライフスタイルに関する調査」(2000年)における「サマータイム制度と労働時間との関係」[資料10]を性・年代別でみると、「外が明るいと職場から離れにくい」としている割合は男女ともに30代で最も高くなっている一方、「サマータイム制度導入の賛否」[資料11]において、「条件が整備されれば(サマータイムの導入に)賛成」する割合が30代男性で61.2%、30代女性で60.8%と他の年代と比べて最も高くなっており、サマータイム制度と労働時間をめぐる問題は、「サマータイム制度は賛成だが、労働時間管理を徹底できる職場環境」を求める30代の勤労者が特に中心となっています。
このため、サマータイムの成否は、労働時間の管理がいかにしっかりと出来るかにかかっていると考えられます。わが国における一般労働者(通常勤務)1人あたりの2002年の所定外労働時間数(厚生労働省「毎月勤労統計調査月報」より算出)は139.2時間ですが、特に製造業の労働者においては年間180時間となっており、不払い残業の問題も顕在化しています。連合(日本労働組合総連合会)においては、労働組合として労働時間管理の徹底と不払い残業を撲滅する取り組みを推進しています。所定外労働時間の総枠の設定とその遵守など、労働時間管理の一層の強化に努めていくことが重要となっています。
また、サマータイムの導入と併せて勤労者の時間的ゆとりを実現するには、年次有給休暇の取得促進、長期休暇、夏季休暇の分散などについても、改めて取り組んでいく必要もあります。

論点:レジャー産業や商業における営業時間の増加から労働強化につながるか
「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年)においては、「夕方の明るい時間が増加すると商業等の閉店時間が延長され、商業・サービス業、貨物輸送事業、建設業や病院において労働時間が増加する」などの懸念意見も多くみられます。レジャー産業・商業では、営業時間が長くなる可能性は否定できませんが、むしろサマータイム期間中を需要拡大の好機ととらえ、雇用の拡大や営業開始時間のくり下げなどにより、労働者一人ひとりにとって労働時間が長くならず、むしろ時短となるようにしていくことが重要です。

論点:通勤時間が長い勤労者にとって、サマータイムは果たして効果はあるか
サマータイム制度実施期間においては、労働時間管理を徹底したとしても、長時間通勤の勤労者にとっては、効用の小さい制度となってしまうことは事実だと考えられます。そのため、現在有力候補となっている「1時間早める」サマータイムだけではなく、その他の方法についても再度検討する必要があります。また、フレックス・タイム制についても積極的に導入・活用していくことが重要です。
さらに、長期的な視野にたってサマータイム制度を有効活用するためには、通勤時間短縮のための住宅事情の改善や交通システムの効率化を図っていくことが重要です。

○ライフスタイルに関する論点

論点:サマータイム期間中、早朝の散歩など朝の明るい時間の活用が困難になるか
近年の人々の行動や嗜好のトレンドからは、アウトドア活動や家族のふれあい、ボランティア活動等の機会を拡大させるため、夕方の明るい時間の増加の方にニーズがあると考えられます。内閣府「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」(2001年)では、サマータイム制度導入に「賛成」する者のうち、45.6%は「夕方の明るい時間が増えることで、私たちの行動の選択肢が広がるから」となっています。

論点:サマータイム制度を導入すると睡眠不足になったり、生活リズムが崩れたりして健康に悪影響が及ぶおそれがあるのではないか
テレビを見たり、テレビゲームをするなどして屋内で過ごすより、夕方の明るい時間を利用して野外でスポーツや散歩を楽しんだ方が健康的であるといえます。要は、個々人で管理する生活習慣の問題であり、サマータイムで促される諸活動は、むしろ健康的な生活リズムの確立が期待できます。また、子供が、ゲームセンターなどの好ましくない環境で過ごす時間が増えるのではないかという意見も聞かれますが、サマータイムによって、野外で遊ぶことや、健全なスポーツ活動、家族と一緒に過ごすことへの指向がむしろ高まることが期待できます。

論点:湿度の高い温帯気候である日本の夏は、特に夜間において蒸し暑いため、サマータイムに適していないのではないか
サマータイム制度を導入してるアメリカ東部は、西日本地域と同じ温暖湿潤気候帯に属し、平均気温・平均湿度とも類似しています。また、「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年)によると、サマータイム制度を導入した場合と現状どおりの場合の夏期の夜間(22時以降)の気温差を比べると0.2℃〜0.4℃程度であり、(就寝時の)蒸し暑さがサマータイム制度によって大きく変化するわけではないと報告しています。

○省エネ効果に関する論点

論点:サマータイム制度を導入した場合、内需拡大効果が大きいなら増エネルギー効果も大きくなるはずであり、エネルギー節約の効果があるとは考えられないのではないか

「地球環境と夏時間を考える国民会議」(1999年)では、サマータイム制度導入による省エネルギー効果として、石油換算で約50万キロリットル(約25万世帯)の省エネになると指摘しています。
50万キロリットルの省エネに関しては賛否両論がありますが、重要なことは、個々人の省エネ意識の向上であり、サマータイム制度はその「きっかけ」となることが期待できることです。サマータイムをきっかけに、かつて日本にあった「夕涼み」を取り戻すことができれば、大きな省エネ効果をもたらすこともできます。冷房を1度高く設定したり、省エネ家電への買い換えを促進するなど、サマータイム期間中を「省エネ意識向上期間」として、国民一人ひとりが更に省エネ意識を高めていくことで、わが国全体の省エネの相乗効果を図っていくことが重要です。また、ドライブに出かける際、エコドライブを心がけたり、公共交通機関を積極的に利用することも重要です。

○切替時に関する論点

論点:標準時とサマータイム時との切替時に時計を調整しなければならないことで混乱をまねくのではないか

内閣府「地球温暖化防止とライフスタイルに関する世論調査」(2001年)では、サマータイムの導入に「反対」とする者のうち、最も多くの割合を占めたのが「切替日において時間あわせが面倒だったり、混乱したりするから」(35.2%)という意見です。しかし、各家庭で行う季節の行事というものは色々あり、それほど面倒な作業とは考えられません。最近では、時刻の自動修正を行う「電波時計」も普及しつつありますし、サマータイム導入により、家電製品に自動時刻切替機能などか追加されることも考えられます。切替日においては、混乱を避けるため、事前の広報活動をしっかり行うことは重要です。

論点:サマータイム制度が導入された場合、酪農における搾乳時間への影響、朝取り野菜の収穫作業への影響・漁獲量への影響等が考えられるのではないか
サマータイム制度を導入している欧米各国においては、酪農、農業、漁業への大きな影響は報告されておらず、基本的には日常的な作業の範囲内で対応可能となっています。酪農については、ドイツやスイスなどにおいて、サマータイム導入の1週間前から搾乳を10分ずつ早くするなど、牛の生理を馴らすことで対応しています。また、一部地域で行われている朝取り野菜の収穫作業や漁獲作業に対しては、早朝の日照時間の減少による影響が考えられますが、作業時間の短縮やせり開始時刻の変更等によって対応することが可能であると考えられます。
 

また、これらの主な論点に関連し、旧余暇開発センター「新エネルギー等導入促進の基礎調査報告書〜地球環境とライフスタイルに関する調査」(2000年)において、以下のような興味深い結果が出ています。

「サマータイム制度の賛否と労働時間の関係」
[資料12]
・サマータイム賛成者は、「労働時間の延長につながらない」(78.0%)、「会社の始終業時刻の変更はなく直接的な影響はない」(39.0%)、「残業は個人の選択であり労働時間延長にはつながらない」(20.3%)、「新しい働き方の広がりで労働時間延長にはつながらない」(18.7%)の合計)と考え、反対者は「外が明るいと職場から離れにくい」(25.9%)ため労働時間が増加すると考える。

「サマータイム制度の賛否と省エネ効果」
[資料13]
・サマータイム賛成者は「省エネ効果があるなら制度を実施するべき」(79.1%)と考え、反対者は「50万kl程度の省エネなら必要性を感じない」(47.8%)と考える。

「サマータイム制度の賛否とコスト負担の是非」
[資料14]
・サマータイム賛成者は、「制度導入に伴うコスト負担を惜しむべきでない」(69.2%)と考え、反対者は「制度導入に伴うコストは無用の出費」(46.7%)と考える。


これらの調査結果は、サマータイム制度導入によってもたらされる社会変化に前向きに捉えるか、そうでないかの違いが大きいことを伺わせます。サマータイム制度に関して重要なことは、明るい夕方の時間の増加よって拡大した活動の選択肢の中から何を選択するかは、あくまで、個々人の価値判断の問題であり、サマータイム制度の導入に前向きな評価をすることで、自らライフスタイルを見直すきっかけとして、きわめて大きな意義を持つものであるということです。

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4.サマータイム制度導入を図る上での今後の検討課題

2003年7〜8月の2カ月間、滋賀県では県職員の希望者を対象に半時間〜1時間勤務時間帯を早め、サマータイム制度の実証研究を実施します。これは、サマータイムがどのように生活スタイルに影響があるかを調べるひとつの指標となることが期待されます。北海道でのサマータイム特区構想は残念ながら認められませんでしたが、この滋賀県の実証研究も参考にし、全国で効果的に導入できるよう具体的な検討を重ねていく必要があります。
また、サマータイム制度導入を図る上での今後の検討課題としては、次のようなものがあり、国民的な議論を重ねていく必要があります。

○ワークルールのあり方について:
サマータイムの成否は、サマータイム制度導入に則したワークルールをしっかりと整備できるかにかかっています。30代を中心に、「サマータイム制度は賛成だが、労働時間管理を徹底できる職場環境」を求める勤労者が多く存在することが調査結果から明らかであり、労働時間管理の徹底や不払い残業撲滅の取り組み推進が重要なポイントとなっています。また、サマータイム制度を導入後に労働時間の増加が懸念される産業や職種においては、労働者に不利益が生じないよう、ワークルールの確立が重要です。

○実施時期:
サマータイム導入国における実施時期をみると、北米(アメリカ・カナダ)・メキシコでは4月第1日曜日から10月最終土曜日、ヨーロッパ諸国では3月最終日曜日から10月最終土曜日となっています。わが国がサマータイムを導入する場合においては、国際金融業務や国際航空業務などの関係から、北米またはヨーロッパの実施時期と調和させ、将来的には日米欧で統一を図っていくことが好ましいと考えられます。

○時間設定:
サマータイム導入国においては、期間中の時間設定を標準時より1時間早めることが一般的ですが、わが国では、最も人口の多い首都圏の緯度が比較的低く、標準時線より東部に位置し、通勤時間も長いというやや不利な条件があるため、サマータイムの効果をあげるために、1時間でよいのか、2〜3時間必要ではないか、という意見もあり、時間設定について検討を深めていく必要があります。
なお、サマータイム導入発祥国の1つであるイギリスにおいては、ヨーロッパ大陸の主要国であるドイツ、フランスとの間に1時間の時差が存在するため、貿易・ビジネス・観光の面などで不利になっているといわれています。そのため、イギリスにおいては、標準時そのものを1時間早め、大陸との時差を解消しようという新たな議論がおこっています。これまでより、標準時を1時間、サマータイム期間は2時間早める計算になるため、「ダブルサマータイム」とも呼ばれています。

○ネーミング:
サマータイム制度が導入されている北米においては、太陽光(Daylight)を有効活用(Saving)する時間制度(Time)という意味から、デイライト・セイビング・タイムと呼ばれており、ヨーロッパ諸国においては、「サマータイム」という呼び方が定着しています。わが国においてサマータイム制度の導入に関する具体的検討が進められていく際には、新たなライフスタイルの実現という目的にふさわしいネーミングについて広く国民から公募するということも考えられます。

5.サマータイム制度導入に関する金属労協の考え方と今後の政策展開について

金属労協は、サマータイム制度が基本的に新たなライフスタイルの確立と国民的な省エネ意識の向上に寄与する制度であると位置付け、その導入の早期実現に向け、対政府要請などの対外活動、組織内における理解促進活動、国民的な運動展開に向けた取り組みなどの活動を行っていきます。

○対外活動
・対政府要請:サマータイム制度関連府省に対し、サマータイム制度導入の早期実現を要請する。
・金属労協政治顧問・民主党政策調査会:サマータイム制度導入の早期実現にむけた政策提言を行う。

○組織内における理解促進活動
・PRポスターの作成:サマータイム制度導入推進ポスターを作成し、組織内におけるPR活動を展開する。
・産別・単組での活動:様々な機会を捉えて、サマータイム理解促進活動を展開する。

○国民的な運動展開に向けた活動
・連合への働きかけ:連合との連携を図り、特に、ワークルールに焦点をあてた効果的なサマータイム制度導入の早期実現を目指し、国民的な運動展開を促していく。
・シンポジウム等の開催:サマータイムを核として、新たなライフスタイルの確立と、国民的な省エネ意識の向上をめざすためのシンポジウム等の催しを開催する。組織内のみならず、外部組織からも広く参加者を募り、幅広い理解促進を図る。
・「生活構造改革フォーラム」との連携強化:「生活構造改革フォーラム」との情報交換を活発に行い、サマータイム導入賛成の立場でフォーラムをサポートしていく。また、サマータイム制度導入を図る上での今後の検討課題である時間設定、実施時期、ネーミングを精査するよう提言していく。<ページのトップへ戻る>

以上




資料編


資料2:サマータイム制度導入国・地域(2001年3月末現在)
地 域 国   名
ヨーロッパ アイルランド、アルバニア、アンドラ、イギリス、イタリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、グリーンランド、クロアチア、サンマリノ、ジブラルタル、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、フィンランド、フォロー諸島、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、マケドニア、マルタ、モナコ、ユーゴスラビア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ルクセンブルグ、独立国家共同体ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、グルジア、モルドヴァ、アルメニア、アゼルバイジャン、カザフスタン、キルギス (47か国)
北米・中米 アメリカ、カナダ、キューバ、メキシコ、バハマ (5か国)
南 米 チリ、パラグアイ、ブラジル、バミューダ諸島、タークスカイコス諸島、フォークランド諸島、サンピエールミクロン諸島 (7か国)
中 東 イスラエル、イラン、イラク、キプロス、シリア、トルコ、ヨルダン、レバノン(8か国)
アフリカ エジプト、ナミビア (2か国)
オセアニア オーストラリア(ニューサウスウェールズ、ビクトリア、サウスオーストラリア、タスマニア)、ニュージーランド (2か国)
資料:2001 World Year Book 世界年鑑
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資料3:諸外国におけるサマータイム制度導入の指摘されている効果
【省エネ・環境】
省エネルギー、エネルギーの節約:アイルランド、アメリカ、アルバニア、イタリア、イラン、ウクライナ、オランダ、キューバ、ヨルダン、スペイン、スロベニア、チリ、デンマーク、トルコ、ハンガリー、ポルトガル、ボスニア・ヘルツェゴビナ、メキシコ、レバノン、ロシア、リヒテンシュタイン、オーストラリア
電気の節約:ハンガリー、ブラジル、フランス、ブルガリア、ポーランド、メキシコ、モンゴル、リトアニア
照明エネルギーの節約:カナダ
環境保護:アルバニア
排出ガスの削減:ウクライナ、チリ
夏期の太陽光の有効活用:メキシコ
【労働条件】
労働生産性の向上:イラン、スロベニア
日中の労働時間の確保:リトアニア
屋外作業の生産性向上:カナダ
通商・交通部門において好ましい労働条件の確立:リヒテンシュタイン
【交通関係等】
交通事故の防止、減少:アメリカ、カナダ、ヨルダン、チリ、リヒテンシュタイン
夏季高温時間帯の交通渋滞の緩和:ポルトガル
交通事情の改善:アイルランド
騒音時間帯の調整:ポルトガル
犯罪の防止:アメリカ、ドイツ
【ライフスタイル】
勤労時間後の有効活用:スペイン 、ニュージーランド
リクリエーションや戸外活動の為の時間を増加:アメリカ
屋外スポーツの振興:アイルランド
レジャー効果:カナダ、ドイツ、ノルウェー、リヒテンシュタイン
明るい夕方に人々が幸せそう:スウェーデン
【他国との調和】
国際的な調和(経済的な結びつき、交通、運輸、通信等)ウクライナ、スロベニア、ラトビア、ルーマニア
EUとの調和スイス
【特記事項】
交通事故の防止、減少
○アメリカにおいては、明るい時間帯の移動は電車より安全で、通勤・通学の人々の生命を守り、交通事故を防止した。11月〜2月を除き、職場や学校に行く朝の交通混雑を防止した。推計では、2年間、3、4月の各2カ月間に50名の生命が助かり、2,000人の負傷が予防され、2,800万ドルの交通事故コストが節約されている。
犯罪の防止
○アメリカでは、デイライト・セイビング・タイムによって明るいうちに職場や学校から帰って、お使いや雑用を済ますので、夜間に多い様々な犯罪に人々が曝されないようになっている。
○ドイツでは、子供や老人が、夕刻でも治安に対して安心感を持つことができる。
ライフスタイル
○ドイツでは、日が長いことを利用し、余暇を過ごす可能性が広がる。
○日照時間の少ない北欧にとってサマータイムは国民の厚生(特に仕事後の余暇の利用、健康の維持)に役立っている。
資料:「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書(1999年5月)より作成

資料4:サマータイム制度導入に関するこれまでの主な経緯
昭和23〜26年に実施されたサマータイム制度
1948年(S23) GHQの指令により「夏時刻法」が制定され、サマータイム制度を実施。
【概 要】@時刻は、中央標準時より1時間進めた時刻(夏時間)の採用。A期間は、4月の第1土曜日の午後12時から開始し、9月の第2土曜日の翌日の午後零時に終了する。(昭和25年から5月開始へ変更)【経済社会への影響】@省エネルギー効果として、電力の節約量は、サマータイム期間中(4か月強)石炭換算で6万6千トン。A国民生活への影響として、明るいうちの帰宅歓迎の反面、通勤ラッシュ問題、残業の増加、主婦の労働過重などが指摘された。
1952年(S27) 夏時刻法の廃止(サマータイム制度廃止)・国民の半数以上の者から反対され不評である旨の世論調査結果や電力事情の改善を背景に廃止。
石油ショック時のサマータイム検討
1979年(S54) 省エネルギー・省資源対策推進会議において、「石油消費節減対策の推進」についての中で、サマータイム制度について検討を進めることに言及。
1980年(S55) 第二次石油危機を受け、石油消費削減対策の一環として制度導入が検討されたが、当面の実施は見送られる。
その後、現在に至るまでの動向
1990年(H2) 「地球温暖化防止行動計画」の中で、「二酸化炭素排出の少ないライフスタイルの実現」のため、サマータイム制度の導入について検討する旨明記。「環境白書」の中で、「省エネルギーによる環境負荷軽減策の1つとして、二酸化炭素の排出量の抑制に資する社会制度導入」を挙げ、サマータイム制度の導入について検討を進める必要性を明記。
1992年(H4) 新経済計画「生活大国5か年計画」の中で、「省エネルギーの促進や国民の余暇活動の増進を図るため」サマータイム制度の導入について検討を行うこと」が明記される。
1995年(H7) 平成7年通常国会@参議院法制局が法案(夏時刻法案)作成。A参議院サマータイム制度研究議員連盟(以下「議連」という。)が発足。議連を中心に積極的に検討。B自民党では、政審総務会で法案了承(6月6日)C法案提出には至らず。その後、通常国会、臨時国会において、議連を中心に法案提出が検討されるも、提出に至らず。
1998年(H10) 地球温暖化対策推進本部幹事会において「地球環境と夏時間を考える国民会議」設置決定(5月)。同本部において、「地球温暖化対策推進大綱」決定(6月)。総合エネルギー調査会需給部会中間取りまとめ(6月)。
1999年(H11) 「地球環境と夏時間を考える国民会議」報告書発表(5月)。
2002年(H14) 地球温暖化対策推進本部において、新たな「地球温暖化推進大綱」決定(3月)。社会経済生産性本部において、サマータイムを、単に省エネルギーの問題だけでなく、国民生活をより合理的にして、今後の循環型社会に適合するための一つの方策として位置づけた「生活構造改革フォーラム」発足(3月)。
資料:資源エネルギー庁資料より作成



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(注)1.約50万Klは、わが国の省エネ対策全体の約1%、うち「国民のライフスタイルの抜本的変革」による省エネ量の1割弱に相当。
2.上表中、▲はエネルギー消費量の増加を表す。
3.CO2削減効果の推計に当たっては、「二酸化炭素排出量調査報告」(環境庁、1992年)に基づく排出原単位を使用。電力部分については、2010年に向けた長期エネルギー需給見通しで前提とされている原単位(2.16tc/kl)を用いて試算した。全電源平均の原単位(0.98tc/kl)を用いて試算すれば、直接効果で約36万t、間接効果を合わせた場合は、約17万tとなる。

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【別紙】金属労協サマータイム研究会経過報告

1.サマータイム研究会メンバー
JC構成産別
柏 木   勉 電機連合産業政策部門部長
水 谷   光 自動車総連産業政策局部長
木 村 泰 宣 JAM産業・業種政策局
井 出 智 則 鉄鋼労連企画・政策グループ
鈴 木 幹 雄 造船重機労連書記次長
岩 本   潮 全電線中央執行委員
小 島 弘 幸 非鉄連合三菱マテリアル総連事務局長
JC本部
若 松 英 幸 事務局次長・労働政策局長
矢 野 博 美 事務局次長・政策局長
浅 井 茂 利 政策局部長
諏 訪 美千代 労働政策局主任
安 藤 正 樹 労働政策局
松 崎   寛 政策局

2.サマータイム研究会経過報告

第1回サマータイム研究会

日 程:2003年2月17日(月)13:00〜15:00
場 所:JC3階会議室
議 題:
○サマータイム研究会の発足
サマータイム制度は、現在世界70か国以上で実施され、OECD加盟国29か国の中では、日本、韓国、アイスランド以外のすべての国で導入されている。日本においてはGHQの指導のもと、1948〜51年の4年間に資源節約のためサマータイム制度を採用したことがあるが、実質的な労働時間の延長につながったとの指摘を受けた経緯などから廃止された。しかし現在、ライフスタイル見直しの観点や、地球温暖化防止活動の普及啓発等の推進として、サマータイム制度の導入について具体的議論が各界において展開されはじめいる。金属労協においても、サマータイム制度が地球環境、労働環境、ライフスタイルに与える影響を研究した上で、その効果的な導入に向けた具体的提言をまとめることとする。
○メンバーの自己紹介
○サマータイム制度に関するこれまでの議論経過
1948年GHQ指令により「夏時刻法」が制定され、サマータイム制度を実施。1952年国民の半数以上から不評であるとの世論調査の結果、「夏時刻法」を廃止。1980年第二次石油危機を受け、石油消費削減対策の一環として導入が検討されたが、当面の実施は見送られる。1990年「地球温暖化防止行動計画」の中で、「二酸化炭素の少ないライフスタイルの実現」のため、サマータイム制度の導入が検討される。1994年「サマータイム制度懇親会」(通産省エネ庁長官の私的諮問機関)報告が発表され、導入の提言が行われる。1995年衆議院サマータイム制度研究議員連盟が発足し、積極的に検討が進められたが、調整がつかず、法案提出に至らず。1998年地球温暖化対策推進本部幹事会において「地球環境と夏時間を考える国民会議」設置決定。翌年5月に報告書を発表。2002年新たな「地球温暖化対策推進大綱」にてサマータイムの国民的議論展開について言及。サマータイムを単に省エネルギーの問題だけでなく、国民生活をより合理的にして、今後の循環型社会に適合するための1つの方策として位置づけた「生活構造改革フォーラム」発足。
○「地球環境と夏時間を考える国民会議報告書」(1999年5月)
国民意識:サマータイム制度導入の世論調査結果では、1998年にはじめて賛成が過半数に達した。省エネ効果:約50万Kl、CO2削減効果は約44万トン。小さな対策を積み上げ大きな効果を引き出す取り組みが求められる。労働への影響:サマータイム制度と労働時間の間に相関関係は見受けられない。労働強化の懸念を踏まえ、時短の推進、改正労基法の時間外労働協定の徹底、時差出勤やフレックス制の一層の推進に取り組むことが必要。ライフスタイル:日照時間増加により、個人活動の選択肢が拡大。
○各界におけるサマータイム政策の対比
○社会経済生産性本部「生活構造改革フォーラム」について

第2回サマータイム研究会
日 程:2003年3月17日(月)10:00〜12:00
場 所:JC3階会議室
講 演:
○「サマータイムを導入した際のライフスタイルの変化」
−毎日新聞社論説委員長 菊池 哲郎 氏
・ヨーロッパでの生きる目標は、ホリデーや週末であり、夏期は1〜2週間連続で休暇をとることは当たり前。サマータイム開始日から「夏」という心のモードにスイッチが入り、サマータイムで増加する日照時間や夏期休暇を有効活用することが夏のライフスタイルの前提となっている。
・夏季休暇には、家族単位で移動するため、ツーリズム産業が発達している。また、同産業における雇用吸収力は大きい。
・ヨーロッパでは、家族が一緒に遊べる(過ごせる)インフラが整っているため、行動が家族単位になる。
・サマータイムのように新たな制度を導入することで、若者の意識改革やライフスタイルの変革が必要。
○「サマータイムの社会的効果−なぜ今サマータイムが必要なのか」
 −日本総合研究所調査部経済・社会政策研究センター 池本 美香 氏
・ヨーロッパにおいては、サマータイム制度により日照時間が増加し、子供が外で活動する時間も増加したため、学校の校庭や公園の芝生化が促進された。
・サマータイム制度は、自然環境を見直すきっかけとなっている。
・人々が楽しみながら野外で活動する時間が増え、経済効果や雇用創出が期待される。
・現在の日本社会の閉塞感は、企業の生産性の低下にもつながる問題である。サマータイムは、余暇活動の選択肢を有効活用するためにも、労働時間管理の徹底が必要。
・日本ほど家族のことを考えていない国もめずらしい。家族が楽しく過ごせる時間・空間作りが少子化対策にもつながる。

第3回サマータイム研究会
日 程:2003年4月16日(水)13:00〜15:00
場 所:JC3階会議室
講 演:
○「サマータイムを導入した際の省エネ効果と労働環境への影響」
 −住環境計画研究所所長 中上 英俊 氏
・京都議定書におけるわが国のCO2排出6%削減は、地球温暖化対策推進大綱の進行状況が思わしくないことから、達成できない数字であり、「今後10年間、CO2を一切出さない社会運営」をすることを政府は約束したこと同じである。地球温暖化対策推進大綱における原子力発電の13基新規増設計画は、一連の原子力発電不祥事が落ち着いても、最終的には7基くらいになると予想される。そのため場合によっては、他国より排出権を購入する必要がある。もし京都議定書の約束を本気で達成するとなると、5,700万CO2の削減が必要であり、10%以上の省エネが必要である。これは、日本全体の社会・経済活動を8日間に1日すべての活動をやめるしかない。
・京都議定書におけるドイツ・イギリスの排出抑制枠が大きい理由は、ドイツは東西統合による東側の工場閉鎖、イギリスは、北海油田におけるパイプラインの整備が進んだため、達成が間近に迫っているためである。
・GDPあたりのエネルギー消費では、日本はドイツ、フランスより効率がよい。また、日本の家庭のエネルギー消費量を1とすると、アメリカは3、ドイツは1.3〜1.5であり、日本はすでに省エネを推進しているといえる。待機電力については、日本は年間5,000億円も損失している。
・省エネコストについては、排出権はトン当たり1万円とすると、1,000トン削減は1,000万円。太陽光発電は、1,000トン削減するには、2兆2,500万円の新たな設備投資が必要であり、トンあたり200万円。サマータイム導入は1,000億円のコストで、50万キロリットル。一番コストが安いのは排出権取引であるが、実際の経済活動や、人々の省エネ意識を促す施策は、太陽光発電の更なる普及や、サマータイムの導入である。
・サマータイムの導入は、コストに比べて、50万キロリットルCO2の削減は非常に効果的な手法でり、このコストでこれだけ削減できる施策はサマータイム以外には存在しない。
・家庭におけるエネルギー消費の違いは、ヨーロッパは主に暖房設備によるエネルギー消費が多く、日本は、唯一他の先進諸国と比べて大きいのは、家電製品である。
・アジアの他の状況は、韓国は日本より西に位置しているにもかかわらず、日本と同じ時勢を採用しているため、一年中サマータイムをしているようなもの。中国は時勢が1つのみであるため、サマータイムを導入する必要がない。
・サマータイムの研究結果では、1時間くらいの生活リズムの変化は生体に影響はないとの結論が出ている。また、牛の搾乳については、ドイツの例をみると、1週間前から10分間くらいづつ時間をずらして対応している。花火や祭りは、サマータイム導入の影響を受けるだろう。
・どの国もサマータイムを導入する前は、最低1年以上の準備期間を設けている。
議 題:
○サマータイム制度のメリットとデメリットについての議論
○労働組合として、どのようにアプローチしていくべきか

第4回サマータイム研究会
日 程:2003年5月21日(水)15:00〜17:00
場 所:JC3階会議室
議 題:
○サマータイム制度の議論と報告書の作成について
・サマータイムで変化が予想されるライフスタイルの強調について
・サマータイムの時間設定については、本当に1時間早めることでいいのか
・サマータイム導入の必要性・緊急性について
・JCとしてサマータイム導入に向けどのような行動をとるのか
などを議論し、最終的に委員の意見も踏まえ、サマータイム研究会報告の価値を高め、金属労協「サマータイム制度導入に関する考え方」として政策小委員会、政策委員会に提案することとした。また、サマータイムに関する懸念意見や労働との関係について次回の研究会にて勉強することを確認。

第5回サマータイム研究会
日 程:2003年6月17日(火)10:00〜12:00
場 所:JC3階会議室
講 演:
○「サマータイム導入とワーク&ライフスタイルの変化」
−(財)社会経済生産性本部 余暇創研 研究主幹 丁野 朗 氏
・サマータイムは基本的に長期的視野にたって議論していくべきものである。
・結論からいうと労働時間とサマータイムの関係は無縁。
・労働時間の問題は30代の労働者が中心。サマータイム制度と労働時間との関係を性別・年代別にみると、男女ともに30代の労働者で「外が明るいと職場から離れにくい」と回答する割合が高くなっている。また、職種別においては、事務職と労務職で高くなっている。そもそも30代の働き盛りは、年休の取得率も低く、この年代の議論がポイントになってくる。
・終業後も会社に残る理由を年代別にみると、20代、30代の労働者において、残業が常態化していることや、上司・同僚がいて帰りにくいなどの傾向が多く見受けられる。
・労働時間の延長については、サマータイム賛成者は、労働時間延長に否定的な人が多く、一方で反対者は「外が明るいと職場から離れにくい」と考えている。地球環境問題、サマータイムのコストの関係、省エネ効果など、サマータイムの主要論点の賛否は表裏一体であり、要は、個々人が社会変化に前向きに評価できるかがポイントである。
・地方では、通勤時間が短いなどの条件が整っているため、サマータイム制度は都市部と比べて有利に働く。また、サマータイム制度導入を活かした地域・町づくりの推進がポイントである。
・大都市部においてサマータイム制度反対の若者が多いが、理由は「めんどくさい」という回答が多く、サマータイムを人ごとと捉えている傾向が見られる。
・韓国がサマータイムを導入した際、終業後の活動で一番減少したのは、「バー・居酒屋」の項目である。
・滋賀県が県職員を対象に今年の7、8月にサマータイムの実証実験を行う。6月に比べ時期的に不利であるが、結果がどうなるのか興味深いものがある。
議 題:
○金属労協「サマータイム制度導入に関する考え方」について

第6回サマータイム研究会(最終回)
日 程:2003年7月1日(火)10:00〜12:00
場 所:JC3階会議室
議 題:
○金属労協「サマータイム制度導入に関する考え方」について
・金属労協「サマータイム制度導入に関する考え方」(素案)の最終議論を行い、同素案を政策小委員会、政策委員会に提案することで確認した。   

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